造船所の現場に最適な作業服とは?シーンごとにチェック!

造船所の現場に従事している方であれば、普段から作業服は手放せない必須のアイテムと言えます。単に作業効率を高めるだけでなく安全性や衛生面においても、自分の身体を守るためには作業服が欠かせません。ただし一口に造船所の現場といっても仕事内容は多岐にわたり、それにふさわしい作業服も異なります。

ここでは造船所での作業シーンごとに、最適な作業服を紹介します。

林業などさまざまな業界で重宝されている作業服


火気の多い現場で必要な作業服とは

造船の工程では船殻構造用の鋼材や配管材用の管材などを、特殊な切断機でカットしたり、逆にバーナーで溶接するなど、火気が発生するシーンが多々あります。造船所でこのような作業現場に配属されているなら、火傷や火災の発生を防ぐためにも、熱や高温に強い難燃性素材の作業服が必要不可欠と言えるでしょう。

綿100パーセントの生地に特殊な加工を施して難燃性能を高めたタイプであれば、火気から身体を守ることが可能です。さらに綿100パーセントの厚生地を取り入れることで、難燃性だけでなく耐久性にも優れたタイプがあります。

これならば鋭利で凹凸のある鋼材や管材などに囲まれた現場で、作業服への引き裂きや摩耗といったリスクを軽減することも可能です。火気の多い現場では、その周辺の温度も上昇しやすくなります。特に炎天下での作業や、熱がこもりやすい船内での作業では、このような傾向が強いと言えます。

そんな現場に従事するのであれば、通常の作業服では対応できないケースにも直面するはず。そこで近年では小型ファンによる空調機能が内蔵された、ニュータイプの作業服が各業種の作業現場で人気を高めつつあります。その仕組みは作業服の腰回りにある小型ファンから外気を取り入れて、大量の風で体表面を冷却するというもの。

このタイプの作業服を現場で着用することで、無駄な発汗や体力の消耗を抑制し、身体を常に清潔で快適な状態に保つことが可能になります。そうなれば作業効率のアップも期待できるでしょう。

塗装作業に役立つ作業服とは

造船の工程では塗装の作業も重要な位置を占めます。中規模以上の船舶であればショッププライマー塗装やブロック塗装をはじめ、船内塗装や外板塗装、さらに外板仕上げ塗装や補修塗装など、各工程に塗装作業が繰り返し必要になります。

造船の現場で塗装作業に従事している方の場合、塗料の付着による汚れは当然想定しなければなりません。そこで作業服には塗料が付着しにくいタイプや、塗料の汚れを落としやすいタイプを選ぶことが求められます。まず塗料による汚れ付着をできるだけ避けるならば、半袖やベストの作業服が最適です。

これだけでも腕や袖あるいは肩まわり等に付着する、様々な塗料汚れの軽減につながります。その一方で、塗装作業をするシーンが長時間にわたる場合には、防汚加工が施された長袖の作業着がよいでしょう。単に汚れが付着しにくいだけでなく、洗濯の際にも汚れを落としやすい効果が期待できます。

また商品によっては吸汗速乾加工のタイプもあるので、夏場の炎天下での塗装作業のように、汗などの汚れが気になるシーンにも最適です。もし塗料汚れが酷い作業現場であれば、最初から使い捨てタイプの作業服を着用するのがベター。

不織布素材の防護服タイプが多く、使い捨てマスクのような感覚で使用できます。これならば多量の塗料汚れが付着しても、気にせずに作業を継続できるでしょう。

狭所での作業ならこの作業服

複雑に入り組んだ狭い船内での作業では、動きやすさや安全性も重視しなければなりません。そこで注目したいのが、つなぎの作業服。腰回りにベルトや紐で締め付ける必要がない分、身体全体をスムーズに動かすことができます。

その上、ベルトや紐のような余計な部分がないことで、作業中での引っかかりによる転倒や、ぶつかって機器類を損壊するような危険なリスクの回避にも貢献します。もう1つ注目したいのが、ストレッチ素材を使用した作業服です。

狭所の現場では身体を屈めたり、つま先立ちしながらというように、無理な体勢で作業を進めるシーンも珍しくありません。そこで伸縮性に優れた作業服が、とても重宝することになります。このタイプの作業服を着用すれば、単に作業効率が向上するだけでなく、体力の消耗や疲労の軽減も期待できるでしょう。

高所作業にふさわしい作業服とは

造船所のドックでは船舶を組み立てる工程で、巨大なクレーンを使って重量鋼材を高い位置へ持ち上げたり、高層の足場を組んで溶接や塗装あるいは各種メンテナンスをするなど、高所での作業も決して珍しいことではありません。

そんなシーンで必要不可欠になるのが、フルハーネス対応の作業服です。一定条件で高所作業をする場合には転落事故を防止するために、フルハーネス型安全帯を装着することが法律で義務付けられています。特に大型船舶を建造している造船所の現場ほど、高所作業のシーンも増加するため、フルハーネス対応の作業服で仕事をする従業員の姿が数多く見られます。

この作業服では上着の両肩辺りにD環付きというのが、オーソドックスなタイプ。ここに安全帯のベルトを通したり、フックを引っ掛けることで、身体をガッチリ固定します。またランヤードを装着する背中部分には、あらかじめ取り出し口を備えているタイプもあります。

このようなフルハーネス対応の作業服を着用することで、造船現場で高所からの転落被害を最小限に食い止めることが可能になります。

帯電防止や静電気防止に対応できる作業服が必要になることも

造船の工程は組み立てれば終わりではありません。艤装(ぎそう)と呼ばれる、各機器の設置作業が残されています。例えば船体艤装では、操船設備や航海設備あるいは救命設備や消防設備など、航海で必要不可欠になる様々な設備を取り付けます。

また電気艤装では電気配線や照明機器を据え付けたり、機関艤装でも船の動力になる主機関や補機類を据え付けなければなりません。このような作業シーンでは、それぞれの現場に見合った作業服を着用する必要があります。

特に電気艤装においては、感電による事故や放電による精密機器の損壊を防止するためにも、帯電防止や静電気防止に対応できる作業服が必須です。さらに引火性の危険物を取り扱う現場ならJIS規格の作業服、精密機器を扱う現場ではIEC規格の作業服というように、同じ電気艤装の作業であっても、現場によって作業服のタイプを使い分けることが求められます。

造船所の仕事では安全性や衛生面からも、作業服を慎重に選ぶべき

一つの船舶を建造するには、複雑で膨大な工程をクリアする必要があります。特に船体の規模が大きくなるほど、この傾向が顕著になると言えます。どんな造船所の現場であっても、作業の種類や内容は幅広く多岐にわたるため、そこで着用する作業服も仕事の内容に見合った、最適なタイプを選ぶ必要があります。

これは作業効率を高めるだけでなく、安全性や衛生面でも極めて重要なことです。